| イントレ ランス Intolerance
作成者:K .T.
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「映画の父」グリフィスの手がけた長編映画としては2作目に あたり、前作『國民の創生』と並び称される映画の古典。時代
と場所が異なる4つのストーリーを並行して語るという実験的 な語り方を始め、バビロニア篇における戦勝の祝宴が行われる 広場の豪壮なセットおよびそこでの流れるような移動撮影(ク
レーン撮影はその当時まだ存在しない)、さらには特撮抜きの バビロニア攻防戦の息詰まる描写など、後の映画芸術の進路に 多大な影響を与えた。
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| 作品デー タ | 監督:D.W. グリ フィス D.W. Griffith 脚本:D.W. グリ フィス D.W. Griffith カメラ:G.W. ビッツァー G.W. Bitzer、カール・ブラウン Karl Brown キャスト: メエ・マーシュ Mae Marsh コンスタンス ・タルマッジ Constance Talmadge リリアン・ギッシュ Lillian Gish 制作国: アメリカ 公開年:1916 年;日本公開1919年 |
| ストーリ ー | 古代バビロニア篇。王の関心が、お気に入りの 王女と彼女の奉じる新しい神に向けられ、既存の神ベルが軽ん じられがちなことに不満を抱く神官達が、敵対する隣国に内通
する。その猛攻を一度ははね返すものの結局バビロニアは滅び る。 中世フランス篇。新教徒(当時の呼び名ではユグノー派) の台頭を快く思わない皇太后とカトリックの貴族達は、ユグノ ー派の弾圧を王に迫る。王はやむなく命令書に署名をし、聖バ ーソロミュー記念日の夜明けの鐘の音を合図に平和に暮らして いた新教徒達の虐殺が始まる。 現代篇。倫理的に「より清らかな」生活の実現を主張する 人々による、工場労働者達の日常娯楽に対する不寛容を遠因と して起こった労使間紛争のあおりを受け、一人の若い娘が様々 な苦難(父親の失職、病死、犯罪組織に属していた若者との恋 愛、彼の更正への努力、服役、生活向上委員会による強制的な 赤ん坊の取り上げ、出所直後の夫への冤罪、その嫌疑を晴らす ための狂奔)を味わう。 ユダヤ篇。パリサイ派によるイエス・キリストの迫害と磔 刑を描く。 グリフィスはこれら4篇のストーリーを断続的、平行的に 提示していくが、合間合間には揺りかごを見守っているらしい 女性の映像と「果てることなく揺れる揺りかごの中から」(ホ イットマンの詩句の引用)の字幕が挿入される。また全編は磔 刑後のキリストの復活とその「愛」の精神の波及による諍いの 消滅のイメージによって締めくくられる。 |
| 作品評 | 『イントレランス』 というともちろん、作者が同じという理由から、我々はすぐさ
ま『國民の創生』との比較を行いたくなる。後者は小説の劇化 、国民的関心事である--我々自身の内戦という--テーマを扱っ た小説の非常に魅力的で、ほとんどスリリングなまでの視覚化
である。他方『イントレランス』は一つの観念を映像化したも のである。この一事を以てしても、この映画を前進と位置づけ ることができる。・・・しかしながら『イントレランス』の第一の魅力は、
バビロンの物語に存在する。・・・グリフィス氏はバビロンの 街を典拠の明らかな記録と調査に基づいて再建した、と映画の パンフレットは謳っているが、これは十分信ずるに足るものだ
。・・・この(バビロンの攻防という)テーマはグリフィス氏 の何百、何千もの人々を扱う見事な技量によって展開されてい る。・・・『イントレランス』の初演時、バビロンが1度目の
侵攻を追い返した時沸き上がった大きな喝采は、監督の技量に 対する力強い賛辞であった。・・・(映画の)最後に我々は、対戦すべく互いに向かっ
て突進する二つの軍隊が、武器を捨て手を握り合うという理想 主義的な未来を見せられる。もちろんこれは陳腐なのだが、グ リフィス氏は複数のストーリーを一つに紡ぎ合わせ、寛容が戦
争やあらゆる邪悪をあり得ないものにしてしまう未来を指し示 すためにこれを行ったのだ。・・・再度結論を繰り返すならば、『イントレランス』は映画の
進歩における前哨地点に立っている。この映画には観念がある 。目的を持っている。構造的な見地からすれば、4つのプロッ トの扱い方と紡ぎ合わせは革命的である。一瞬たりとも明晰さ
の欠如は見られない。それぞれのストーリーはそのクライマッ クスに向かって一直線に進む。関心が分割されるので、劇的な 関心もまた分割されてしまうのではないかと考えるのも当然の
ように思われる。しかし『イントレランス』の人を引きつける 力は、我々の考え方によれば、『国民の創生』を凌駕している 。・・・グリフィスは『イントレランス』においてしっかりと主張
を行っている。見え透いた部分、少しばかりやりすぎた部分、 卑俗さに陥った部分もあるが、全体として、『イントレランス 』は力強い作品である。その華々しいまでの魅力は確かなもの
である。・・・ (以上、The New York Dramatic Mirror, Vol.76,
No.1969, September 16, 1916 より) |